A1腱鞘のX線撮影 (医療機関向け) 「2mm切開ばね指手術」ではX線撮影が不可欠です X線写真により手術に最適な皮膚切開の位置を決めることができるからです。 撮影方法は手術する指により異なるので、当院の方法を紹介します。 |
◇ 微小切開手術におけるX線撮影の意義 微小切開ばね指手術の欠点は、手術中にA1腱鞘を目で見ることが出来ない点です。 また軟部組織であるA1腱鞘はX線透過性でありX線写真にも写りません! 一方、A1腱鞘は深部でMP関節と密着しており、両者を同一投射軸にしてX線撮影ができます。 つまり A1腱鞘のX線撮影 とは MP関節の位置確認 と同義となります。 A1腱鞘を含む全腱鞘(中指)の説明は A1腱鞘とA2腱鞘 です。 母指のA1腱鞘の解説は ◇簡単な解剖学(母指) です。 中指のA1腱鞘の解説は ◇簡単な解剖学(中指) です。 ◇ X線マーカーの貼付 X線撮影の準備として、皮膚切開の位置にマジックで印を付けてX線マーカーをテープで止めます |
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手術では開始点(S)にガイド部を挿入して中枢に向けて腱鞘を切開します。ここがA1腱鞘の「遠位入口部」でありX線マーカーの貼付位置です。 この際、A1腱鞘の反対側「近位入口部」の位置は関係ありません。 図のようにA1腱鞘が2つに分かれている場合があり注意が必要です。(別項で述べます)。 |
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◇ 母指以外のX線撮影(示指、中指、環指、小指) 当院ではX線の立体撮影を行っていますが、単純撮影でも問題ありません。 |
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手のひらが上向きでも下向きでもX線撮影は可能です。ただし、手のひらが上向きか下向きかにより鋼線マークと骨の位置関係が微妙に異なります。 手のひらが上向きの撮影では、傾斜角15°のX線透過性スポンジを使って手のひらが水平になるように調整します。 手のひらが下向きの撮影では、手の甲のマジック印(鋼線マークに対応)にX線の焦点をあわせます。 |
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手術症例 #1463 の環指のカラー写真とX線写真です。 手のひらのマジック印とX線写真の鋼線マークが対応します。 |
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◇ 母指のX線撮影 |
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母指の場合は上と同じ方法では、手術に役立つX線写真を撮影できません。 当院では傾斜角が45°のX線透過性のスポンジを利用して検査を行っています。 手のひらを45°傾けることで、母指MP関節を真上から見たX線写真が撮影できます。 |
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右は実際のカラー写真とそのX線写真です。 | ![]() |
◇ 手のひらの触診のコツ
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◇ 鋼線マーク(X線マーカー)の製作 |
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鋼線マークは直径5mmの円形で、予めバネを加工して準備しておきます。 私はRICH社製の「ロングバネNO.1」をニッパーで切断して作ります。 |
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写真は、出来上がった鋼線マークです。 鋼線マーク散逸しないように太めの軟鋼線に通して保管しています。 |
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◇ X線透過性スポンジ |
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X線透過性スポンジ(母指用)は、二等辺三角錐のものが市販されています。そのままでは大きすぎますので写真の大きさに縮小して使います。 当院では立体撮影を行っていますが、1枚だけの単純X線撮影でも問題ありません。 |
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