スピーカー・ボックス


院長室の自作スピーカーからは絶えず”ゆうせん”が流れています。テレビと違って他の作業の妨げになりません...。

1) スピーカー・ボックス製作のきっかけ

2006年の春、たまたまスピーカーに軽く触れたところ、スピーカーコーンを支えるウレタン・エッジが劣化していてぼろぼろと脱落して周囲から完全に遊離して壊れてしまいました。Sound Den社に修理を依頼してウレタンからセーム革エッジに交換してもらい、そのついでにスピーカー・ボックスも作り直すことにしました(右:以前のスピーカー・ボックスの抜け殻)。

その年の夏に購入した輸入材が乾燥したので、12月の暮れから製作にとりかかりました。

スピーカー・ボックスの抜け殻
2) 無垢板のゆがみ

購入した当初は約5cmの厚さがあった板材が数ヶ月の乾燥中にかなり反ってしまい、平になるまでカンナ仕上げをすると3cmまで薄くなってしまいました。木目が硬すぎて電動カンナでは歯がたたず、手作業で何度もカンナを研ぎ直しながら削りました。非常に重くて硬い材質で、薄く削ってもなお石材のような重量感があり、これからの製作がたのしみでした。

無垢材の側面、厚さ3cm
3) 製作現場

ねじ釘、釘を一切使わずに組み立てるために、全ての接合はボンドを使用しました。右はF型クランプで接合中のスピーカーボックスです。

F型クランプで接合
完成間近のスピーカー・ボックスで前面パネルはひもで仮固定した状態です。
左側は前面パネルにスピーカーが仮収納してあり、右側は穴があいたままです。
製作で一番工夫を要したのは前面パネルの大小2箇所の穴あけです。板が非常に硬くてルーターの替え刃が何度も焼け切れてしまうほどでした。

それらしい形になって...
ルーターを用いて大きな穴を開けている所です。ルーターの回転軸をボルト固定して、一周ごとに刃先を2~3mmずつ伸ばしながら、1.5cmの深さまで削ってから板を裏返します。反対側からも同様に削り、最後に中間点で穴を貫通させました。
木材の焦げるにおいが...
小さな穴あけで同じ方法が通用しないので、あらかじめ計算済みの丸い穴をあけたベニヤ板を板材にあてがって固定しました。そのベニヤ板の円にルーターを内接させて穴を穿つ方法をとりました。小さな穴の場合も、表と裏から1.5cmずつ削って中間点で貫通させました。

薄いベニヤ板には円形の穴
4) スピーカー・ユニット完成

ウレタン塗装に先立ち、ケヤキ色に発色するように自然素材と砥の粉で前処理を行っています。
密閉式スピーカー・ボックス
W:40cm  H:59.6cm  D:33cm
容量:64L 重量:20.8Kg
スピーカー: FOSTEX製
  F220A  22cmコーン型フルレンジ
  FT96H  ホーン スーパー ツィーター
スピーカー・ボックス(エンクロージャー)製作後の感想
これまでと違って今回は大音響で鳴らしてもスピーカー・ボックスには共鳴も振動も全くありません。セーム革エッジが音質の改善に大きく関与している印象があり、ようやく及第点に仕上がりました。

日曜大工が終わると必ず「日曜大工はもうやめた!」と思うのですが...。

完成したスピーカー

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