A1腱鞘とA2腱鞘 (医療機関向け) 「経皮的ばね指手術」ではA1腱鞘とA2腱鞘に関する情報が重要です。 A1腱鞘を切除しても手の機能障害は起こらない(Lowら、1998)との報告があります。 腱鞘をA1、A2、C1・・・の名称で分類したのはDoyleら(1975)が最初であり、Strauchら*1(1985)がそれを改変して発表しました。 ◇ 異なる3種類の解剖図譜 ・ 手術書および図譜には下記の異なる3種類の記載があり、臨床家に混乱を与えています。 ・ 私は2mm切開ばね指手術では1)ネッター図譜と2)Thieme解剖図譜が参考になると考えます。 A1とA2の間隔は症例ごとに違いがあるために、多彩なばね指の症状が出現すると考えるからです。 ・ 一般的にはA1とA2の間隔が密着する3)Green手術書が参照されています。 |
1)ネッター図譜(再掲) C1がA1-A2の間にあり、A1とA2の間隔は広い。 | |
2)Thieme解剖図譜 C1がA2-A3の間にあり、A1とA2の間隔は広い。またA1が二分割している。 | |
3)Green手術書 C1がA2-A3の間にあり、A1とA2の間隔は密着している。 | |
◇ A1腱鞘の摘出標本 ばね指を知るためにはA1腱鞘の摘出標本が非常に役立ちます。 ガイドナイフを用いて行ったA1腱鞘ガングリオンの摘出からの標本です。 A1腱鞘の長さは約1cmで厚みなどの形態は多彩です。摘出時のコッヘル把持による圧痕がついています。 |
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【写真1】 A1は約1cm 右:屈筋腱側 (19174,NY) | 【写真2】 柔軟性なA1腱鞘、中指 (C25691,TE) |
【写真3】 2分割したA1腱鞘、中指 左:屈筋腱側、右:表面 (C46282,IK) | |
【写真4】 硬いA1腱鞘、中指 (C31086,ShH) | 【写真5】 A1腱鞘入口部Tapering (C45020,IK) |